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2014年8月 1日
生活保護と年金
福祉の現場で働いていると理念と現実のギャップを感じてしまうことが多々あります。
今日は、そういったお話です。
生活保護の制度は、
日本国憲法第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
を根拠に生活保護法によって規定されています。
社会保障制度の最後の砦(セーフティ・ネット)で、確かにいい制度です。
しかし、その支給基準についてやりきれないことがあります。
例えば、老齢基礎年金は、月額約6万5千円程度(障害基礎年金2級も同様)の支給があるのに対し、生活保護は算定によって年金を上回る給付を受けることがあります。
これは、国民年金をきちんと納めていた人より支払っていなかったり、滞納があった人でも年金以上の給付を受けることがあるということです。
もちろん年金での生活が苦しい場合、支給要件に該当すれば生活保護がでますので不合理ではないのですが、年金をきちんと納める人こそ「生活保護のお世話にはなりたくない」と言って生活保護より低い収入で暮らす人もいます。
これでは、国民年金をきちんと納めた方が「馬鹿らしい」というモラル・ハザードを起こす原因にもなります。
また、生活保護は、生活扶助だけでなく医療扶助もあり、そのため医療費が全額無料になることもあります。そのため、医療費を節約して使うという考えがない人も多く見て来ました。
年金生活者は、少ない収入の中で健康保険料をはらい、医療費の自己負担分を払うため辛抱して生活する人もいます。
そのどちらを見てもやるせない思いをすることがありました。
さらには、障害福祉サービス事業所でも、作業をして工賃などの収入を受けることがありますが、生活保護をうけているとその工賃が収入として認定されることにより生活保護費が減額されることもあります(本来は、減額されると言うよりは、補う額が少なくて済む何でしょうけど)。となると、働いて生活保護費を減らされるより、働かず生活保護費を満額もらおうと思う障害者も出てきていました。そのため作業には参加しないという人も出て来ました。
そんな現状を目の当たりにするとこれまたやるせない気持ちにもなりました。
約10年ぐらい前ですが、私も社会福祉施設の施設長の資格認定のための研修を受けたことがあるんですが、そのときのスクーリングのときに講師の先生が生活保護の支給水準について多いと感じている人たち(資格認定の研修を受けている人たちの中で)のほとんどが「多すぎる」と答えていたのを驚いていた様子でした。社会福祉施設の施設長やその予備軍の人たちがそのように感じているのは私も意外でしたし、私も多いと感じている人の1人でした。
まじめに年金を納めた人の収入が多く、生活保護に頼らなければならない人が年金より少なくするのは財源上難しいことはわかりますが、何とかならないのかと思います。