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2019年12月16日
放課後等デイサービスの開設・設立(第1章 はじめに・第2章 指定基準(1)基本的事項)
こんにちは
少しがんばってみようと思います。
第1章 はじめに
放課後等デイサービスは、平成24年度に児童デイサービスから児童発達支援、放課後等デイサービスへと改正されました。当初2,540箇所だったものが、急増し、平成27年度には、6,117箇所、平成30年4月には11,728箇所となりました。また、質の悪い事業所が問題化したため、人員配置基準の見直しや放課後等デイサービスガイドラインの策定と自己評価の公開、平成30年度から児童発達支援管理責任者の要件の変更、各市町村内の事業所の数を制限するいわゆる総量規制がかけられました。
その放課後等デイサービス事業所の設立の条件は、指定基準を満たす必要があります。指定基準は、人員基準、設備基準、運営基準を満たしてくださいと説明されることが多いです。
しかし、本当は、放課後等デイサービスを立ち上げる前に必要な条件があります。それを、私は、基本的事項として開設・立ち上げに必要な条件を記載て行きます。
第2章 指定基準
(1) 基本的事項
① 総量規制・ニーズ
事業所の指定は、都道府県、政令指定都市、中核市(所轄庁という)の権限ですが、その市町村に作れるかどうかは、各市町村に確認する必要があります。所轄庁によっては、市町村の意見書を求めるところもあります。もちろん、新規開設が必要ないとされた場合は作ることができません。
市町村では、3年に1度、放課後等デイサービスを含む障害福祉サービスの需要や供給状況を調査して計画が作られています。その計画に基づいて、放課後等デイサービスの事業所の開設ができるかどうかが決まってきます。供給が過剰だと開設に制限がかけられますし、需要が多い場合は、開設ができます。
実際に、開設の制限をかけている市町村もありますし、ぜんぜん足りないと言っている市町村もあります。そのため各市町村に問合せてみる必要があります。
市町村に問合せるときには、誠実に対応してください。市町村も良い事業所ができることは喜びますが、放課後等デイサービスが儲かるから参入したいと考えている人たちを嫌います。供給が足りないところも、電話に出た職員に「充分、足りてます。」と冷たく言われることがあります。計画は作られていますが、実際の需要と供給のミスマッチや、事業所間の人気、不人気の格差・偏りなど地域の実情はそれぞれです。また、主観的な要素も入ってきます。そのため誠実な対応を心がけてください。
計画上は需要があるとしても実際に継続して運営していくためには、本当のニーズを把握することが必要です。ひとくちに放課後等デイサービスも色々なニーズがあります。重度障がい児や医療的ケア児を支援して欲しい。事業所が多い地域、少ない地域。住んでいる学校・地域によっては送迎が充分でなく断られている。対象が特別支援学校の子ども達中心か、普通学校の特別支援学級の子ども達中心か。お預かりや送迎を中心に希望されるか、療育を中心に希望されるか。などなど、その地域、保護者のニーズ、本人達のニーズがどこにあるかしっかり検討する必要があります。
② 法人格
指定申請をする上で法人格は、必須となっています。個人の自然人としての資格だけではできません。必ず、法務局に登記を行った法人である必要があります。
放課後等デイサービスの事業は、障がい児通所支援事業とされ、社会福祉法では、第二種社会福祉事業とされています。第一種社会福祉事業を行なう場合は、社会福祉法人で無ければなりませんが、第二種社会福祉事業は、あまり制約がありません。ですので、放課後等デイサービスの事業をする場合の法人格は比較的多くの法人格から検討できます。
法人格の検討については、設立しようと思った経緯等で決めていくと良いと思います。
個人や夫婦で持っている資格や経験、脱サラして考える場合はスムーズにできる合同会社や株式会社(営利法人)がいいと思います。意思決定も速くできますし、運営も比較的楽です。ただし、送迎車両を購入するにあたって補助金を使いたいということはほとんどできません。
親の会などのように何人か同じような悩みの人たちが集まって作りたいのであれば、一般社団法人やNPO法人(非営利法人)がいいと思います。設備や車両などの補助金を受けることもできます。ただし、補助金は募集期間が決まっていたり制約が多いので、欲しいときにもらえないということも多々あります。もらえたらラッキーぐらいの心構えがいいと思います。これらの法人の場合、法人格をとること自体に行政の認可が必要です。役員や人が多くなるほど意見がまとまらなくなることもあるので意思決定が少し難しくなります。
どの法人についてもメリット・デメリットがあるため、しっかり比較検討し法人を設立してください。
法人は、設立したときから法人市県民税がかかることになります。また、税務署にも青色申告の届出等を法人設立の日から3ヶ月以内にしないといけません。それを過ぎて届出を行うと、初年度の赤字を次年度に繰り越すことができません。そのため、法人設立のタイミングもしっかり検討されてください。
③ 定款記載事項(目的)
法人の目的・組織・活動・構成員・業務執行などについての基本的なルールを定めたものが定款です。この定款の目的の部分に放課後等デイサービスを行うためにはその旨の記載が必要です。いろんな所轄庁の例を見ていると「児童福祉法に基づく障害児通所支援事業」という記述が出ています。
放課後等デイサービスだけをする場合はいいのですが、放課後等デイサービスを運営していると、相談支援事業の必要性を感じたり、学校卒業後の居場所や社会参加の場所の必要性を感じます。その時に向けて、相談支援事業や就労系事業の記載も最初のうちにしていた方がいいと思います。
定款変更は、営利法人の場合は、法務局に費用を払って変更する必要があります。また、非営利法人の場合は、法務局に費用を払う必要はありませんが、法人の所轄庁に定款変更の手続をして、法務局に変更登記をかける必要があります。そのため、5年後や10年後ぐらいを見すえた目的を記載しておくと良いと思います。
④ 欠格事項(法令違反・反社会的勢力)
指定申請の書類の中には、法人や役員、事業所の管理者等が法令・条例等で決められた事項に該当していない旨の誓約書が必要になります。
法令・条例等を記載しても難しくなるので要点を書いておきます。
ア. 法人であること
イ. 法令・条例等の基準をみたすこと
ウ. 刑罰を受けているとき(法令によって禁固刑や罰金刑の条件があります)
エ. 指定の取り消し処分を受けてた者などで5年を経過していない場合
オ. 暴力団関係の方
なかなか、難しいので要点を言うと刑事罰を受けるような法令違反を行ったり、保健医療福祉に関する法律で罰金刑を受けたり、指定取消に該当するような不適切な運営や不正請求行った人たちが関与することはできません。暴力団関係の方は難しいです。
さらに暴力団関係者排除に係る誓約書も必要なります。
この誓約書とその確認には、役員、管理者などそれぞれの各都道府県の警察本部の照会も行われます。照会が行われるため警察が忙しいと指定に時間がかかることもあります。
⑤ 財務
行政から安心して事業指定をもらうためには、財務基盤がしっかりしていることが必要です。資金繰りがうまくいかず、閉鎖しなければいけない状態は、利用する子供たちはもちろん保護者にも迷惑をかけます。そういうことが無いように財務諸表(決算書)や通帳の預金残高の確認があるところもあります。
また、収支計画も現実的でしっかりしている必要があります。
たまに、初月から利用率100%の計画を持ってくる方がいるようですが、そんなことはほぼないです。行政の方達は、地域の実情が分かっているので現実とかけ離れた計画を持っていくと作り直しを指示されます。
収支表も資金繰り表に近いものを出す必要があるところもあります。
国保連(各都道府県国民健康保険連合会:各自治体から委託を受けて報酬の支払いや審査を行う機関)は、利用した月にお金を振り込んでくれません。
利用した月の翌月10日までに報酬を請求して、間違いがなければ翌々月の20日に支払われます。そのため、最低でも2か月分の費用(人件費、家賃、水道光熱費、車両代その他)に見合った預金残高を確保する必要があります。
創業する場合の創業計画には、利用率による収入増加と支出を両方加味して記載する必要があります。
今回は、以上です。