みなさんこんにちは
たまには、周年や挨拶以外も書いてみようと思います。
近頃のトピックスと言えば、サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の研修要件の緩和ですね。
まずは、令和5年2月27日に開催された社会保障審議会障害者部会の資料5からです。
現在、ご存じのようにサービス管理責任者等の研修(相談分野は別途)は、おおむね3年間の実務経験でサービス管理責任者等基礎研修を受けて、実務経験を2年間経過してサービス管理責任者等実践研修を受けられるという2段階の研修が必要です。
そこで、今回、後半のサービス管理責任者等実践研修が、サービス管理責任者等が配置されている事業所において、 個別支援計画の原案の作成までの一連の業務を行う場合ややむを得ない事由によりサービス管理責任者等を欠いている事業所におい て 、 サービス管理責任者等とみなして従事し、個別支援計画の作成の一連の業務を行う場合は、6月以上の実務経験(サビ管等コア業務)で受講できるようになりました。
現状よりはとてもいいことだと思います。
ただ、現状ではいくつか問題点が出てくると思います。
1つ目、たまたま私の運営する放課後等デイサービスでもいるのですが、サービス管理責任者等基礎研修をたまたま受けられず(応募を落とされていて)、この次の研修に受けられた場合、実務経験がたまたま5年以上になるので6月以上のさらなる実務経験(コア業務)になりサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の配置が可能になります。
一方で5年未満(4年10箇月など)の場合は、実践研修を受けられるのに2年かかることになります。
今回のように研修の応募の時期・受講時期によりたまたま5年になった場合の公平感の問題があると思います。
そもそも基礎研修以降は、いつでも実践研修を受けられて、実務経験がおおむね5年たったらサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者のその問題は起きないと思います。
2つ目、実務経験の期間の緩和はあっても研修自体の定員が少ないので結局、受けたい人も待機の状況になり受けたい人やキャリア形成にゆがみを生じさせることになると思います。
受講定員が少ないことで本人の意思・能力ではなく、受けられるか受けられないかが運の要素が強い現状があります。
これは、研修をいつでもどこでも受けられる体制づくりが求められます。
子育て世代のリスキリングの観点からもいつでもどこでも研修が受けられる体制を作る必要があると思います。
私は令和元年の変更が急激で十分な経過措置の期間を取らないこととそもそもが現状と乖離していると思っています。
目まぐるしく変わる社会の要請に追いつくために朝令暮改のような制度設計を行う方達の苦労は大変なことだろうと理解します。
しかし、厚生労働省の政省令や通達・告示でコロコロ変えていく姿勢は、障害者自立支援法の制定時に反省したことをすっかり忘れているのではないかと思ったりもします。
元々、サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者は、おおむね5年間の実務経験を経て相談支援従事者初任者研修1日目・2日目の研修とサービス管理責任者等研修共通講義及び分野別 演習を受講の最低5日間の研修を受けるとサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者として配置ができました。
ところが、令和元年の改正からサービス管理責任者等の研修がおおむね3年間の実務経験でサービス管理責任者等基礎研修を受けられて、それから2年経過してサービス管理責任者等実践研修を受けられるという2段階の研修が必須とになりました。
サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の質の向上と言えば聞き心地はいいですが、良質な福祉人材の確保を難しくする行為だと思います。
これからますます福祉人材の確保が難しくなります。
福祉人材の確保の点からいくつかの問題点があげられます。
1.一般企業からの人材確保の問題です。
サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の仕事としては個別支援計画作成や実行に必要な障がい特性の理解や支援技術の知識・技能が必要だと思います。
そして、もう一つは支援に携わる職員への指導も含まれていますので、マネジメント能力も必要だと思います。
障がい特性の理解や支援技術の技能は、サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の実務経験とされる分野での実務経験が必要だと思いますが、部下に対するマネジメント能力や社内営業(調整)・地域との連携はサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の実務経験とされる分野に限られるものではないと思います。むしろ、ある程度の企業規模があり、研修や人事制度等が充実している民間企業の方がマネジメント能力の能力開発については優れているかもしれません。
マネジメント能力等の民間の優れた知見を持つ人材の流入を難しくしている思います。
2.女性の活躍推進という点においても問題だと思います。
私が運営する放課後等デイサービスでも結婚に伴う離職(転居しなければならない)、出産育児のための休職は実際にあっています。
そのたびに、あと少し働けば研修が受けられるのにと思います。
また、多くの都道府県では、研修が年に1回(福岡の場合前期後期の2回)しかないのでその時期に応募できなければ来年を待つことになります。
結婚・出産はとても喜ばしいライフイベントですが、3年、研修を受けてから2年と区切られた実務経験はせっかく福祉業界に来てくれた女性のキャリア形成や活躍推進からは人材を大切にしているとのメッセージが送れません。
福祉業界が女性の活躍推進に熱心な業界だとして法人推薦などもなく研修がいつでもどこでも受けられれば育児休業時等のリスキリングの好事例にもなるような気もします。
3.研修が通年いつでも受けられないため男女を問わず職員のキャリア形成ができない状況にあります。
先ほども書きましたが、多くの都道府県では研修が年に1回(福岡の場合前期後期の2回)しかないのでその時期に応募できなければ来年を待つことになります。
そして、応募者多数なので研修自体を受けられないこともあります。私が運営する放課後等デイサービスでは、サービス管理責任者等基礎研修を3回落とされた職員がいます。
研修の受講がボトルネックになっていることは事実です。
障がい福祉サービス事業所が多くできて質の向上が必要なのは理解できます。
障がい福祉サービス事業所が多くできて質の向上が必要であるのなら、サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者として配置できるような知識・技能がある職員が複数いて実際のサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者を支えていく構造の方が、事業所として質の担保ができると思います。そのために、私は、できるだけ多くの職員にサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の研修を受けて欲しいと思っています。
もし、障がい福祉サービス事業所の事業所数を規制したいのでしたら事業所数の総量規制や私は研修によって規制するのは反対ですが、サービス管理責任者等実践研修の受講者数を規制すべきで、サービス管理責任者等基礎研修の受講は実務経験を持つ人は、いつでも、どこでも受講できるようにするべきだと思います。
処遇改善加算の制度では、職員のキャリアアップをうたっているのに実際には研修が受けられない、キャリアの分断を招く制度設計になっていると思います。
そんな中でサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者が足りなくなる。報酬上の減算にかかり事業所運営ができない事業所が出てくるのは仕方のないことだと思います。
事業所運営のみではなく社会全体への影響も考慮して制度設計を行っていただきたいと思います。
そもそもサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の研修の目的は何なのか
・サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の質の向上が目的なのか
・障がい福祉サービス事業所の事業所数を規制したいのか
によって最適な答えが違うと思いますし、研修という制度を都道府県に委託する場合を想定していて時間もかかるため、経過措置期間の短かった令和元年度の改正そのものもが、悪手であったと思います。
あと、毎回思うのですが、規制を強化する場合の報酬の評価はなぜ行わないのでしょうか?
研修の時間数が増える、人材確保が難しくなる等、当然事業者は経済的な負担が増えて報酬を増やさないといけないと思うのですが、報酬の議論にはなりません。
規制の強化には増額の報酬改定が必須だと思います。
今回のサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の研修要件の緩和は、今のところ厚生労働省の主管課長会議等でも連絡があっていません。
なので、令和5年4月からの実施は難しいのかもしれませんね。
期待している事業者の方達は残念ですが、しばしお待ちいただくしかないようですね。
介護保険の方で人材確保(人材紹介会社等)ことが話題になっていますね。
介護事業者の収益の悪化の原因に人材紹介会社への紹介料等の支払があるようだとのことですね。
確かに、その指摘はあると思います。
やっと、議論されそうですね。
人材紹介会社等については私も思うところがあるので、書く時間があれば書きたいと思います。