今回は、就労継続支援事業をはじめるため都道府県(一部、市)から、指定を受けなければならないんですが、その取得のしやすさについて検討していきたいと思います。(あくまでも事業のしやすさではないですよ)
福祉関係者に悪名高い障害者自立支援法でしたが、その法律を作成した中の問題意識の中に
① 今までの福祉施設から一般企業への就職実績が少ないと言うことと
② 増え続ける社会保障費の問題がありました。
③ 障害者の工賃が上がらない。
ということがありました。
就労継続支援A型事業は、昔、福祉工場と呼ばれ、就労継続支援B型事業は、授産施設や小規模作業所などと呼ばれていました。
昔も障害者の社会復帰などの目的のもと福祉施設が障害福祉について努力していましたが、障害者の福祉施設から一般就労の実績があまりありませんでした。(確か記憶では当時の厚生労働省の資料で約1%だったかと)
そして、障害者も行政が認めた人たちだけに行なう措置制度から支援費制度、契約へと福祉サービスのあり方が変化したために福祉施設を利用する障害者が増え続け、その裏づけとなる社会保障費が膨大に増え続けました。
授産施設は、一度、定員を行政から認めてもらうと行政が支払う費用が固定化してしまうことから行政としてはなかなか認めたがらず総量規制がかけられていました。
その流れをくむ就労継続支援B型事業は、今も総量規制がかけられています。
3つ目の授産施設で働く(作業する)障害者の工賃も当時約10,000円程度で安すぎるということがありました。福祉工場、就労継続支援A型事業は、最低賃金を保証するので、平均賃金が約10万円程度見込めます。
そこで、一般の就労率をあげるために就労移行事業や工賃を大幅に上げるために就労継続支援A型事業について参入がしやすいように総量規制、法人形態の規制を緩和しました。そのため、就労継続支援A型事業は、指定が取れやすい事業形態となりました。
規制がかかり授産施設をはじめたくてもできなかった人たちや社会福祉法人でしかできなかった障害福祉事業が開放され、NPO法人などの非営利法人だけはなく、株式会社をはじめとする営利法人が、就労継続支援A型事業に参入することになりました。
就労継続支援A型事業に参入する障害である賃金の支払いについて抜け道がありそれを上手く利用し就労継続支援A型事業の事業所が急激に増えました。(他にも裏技がありますが、それはここではちょっと・・・(笑))
こう考えたわけです。
最低賃金の保証。地域によって最低賃金のは時給600円から800円ですよね。
「最低賃金の時給は確保するけど、その労働時間は短くていいよね。」と、「それに障害者が通ってくると報酬が支払われるから、その報酬のなかから障害者に給料を支払ってあまった分が事業所の収入だよねと」と。
すべての事業所がそういう考えではなかったのですが、そういう制度を違う形で利用する事業所もあったようです。
だいたい、そのように考える事業所では、障害者の作業や支援について深く考えることも無く、障害者と言っても一人の人間であり、「働く喜び」があると言うことを置き忘れていました。
そのため、事業所に障害者が集まらなかったり、厚生労働省は、その対策としての報酬改定を行いそのような悪質な事業者を排除することを行ないました。(それも完全な方法ではありませんが・・・)
まっとうに事業を行なっているところはあまり関係ありません。 安心してください。
そういう意味でも、就労継続支援A型事業は、参入しやすいです。
何かこう書くとA型事業者が悪いみたいになりますが、
どの制度にも問題は常に有りますし、A型事業所の障害者に最低賃金を保証することは、障害者の所得向上の上では大変重要であり、A型事業所は、社会的に必要だと思います。
次に続きます。(②/④)